ロボット兵士の戦争

ロボット兵士の戦争

P・W・シンガー

NHK出版


 人生で初めてロボットと認識したものは何だろうか。
 ぼくは間違いなくドラえもんだったと思う。
 まぁ世代によってはアトムだろうし、009だろう。
 実写で初めての印象はターミネーターだった。
 そして、ターミネーターの世界では人間とロボットが対立していて、そこは荒廃した世界だった。
 のび太君がしずかちゃんをゲットする幸せな未来なのか。
 ターミネーターがサラ・コナーを殺しにくる未来なのか。
 それとも、僕らはとっくにらりるれろに支配されているのか。
 今考えられるロボットと人間の近い近い未来を予測した本です。
 とはいえ、介護ロボットなんかは出てきません。
 あくまでも戦場でロボットがどうなるのか、それが戦争に、人間にどう影響を与えるのかの話がメインになっています。

 本筋からは少しずれるんだけど、印象的だったのは911やアフガン、イラクなんかをはじめとしてアメリカが戦った紛争を「反乱」と表現していること。
 原典見たわけじゃないから訳の問題もあるだろうけど、反乱かぁ…反乱なのかぁ…反乱ってなんだよ…と引っかかってしまいました。
 でもそれはぼくらが半世紀以上戦争という現実から目をそむけて、観念の中で戦争ってものを考えるから違和感かんじるのだろうか。

 なんて書いていたらビンラディンが殺された。

 21世紀の初っ端に唯一の超大国に真っ向からケンカを売ったのは一人の男だった。
 その後、現在に至るまでアメリカは中東で手を焼いているわけだけど、その中東での戦争こそが無人機の価値を認めさせ、大きく普及する契機になったらしい。
 ということでイラクで路上爆弾の処理に活躍するロボットの話からこの本は始まります。

 この無人機、iRobotのもので、今福島の原発に来てるもの。日本のテレビでは「ロボット掃除機などを作っているiRobot社の…」って紹介されてたけど、要はあのアームで何をするのかの違いにすぎない。
 他にもグローバルホーク原発の撮影してたり、なんだか地震で急に見る機会が増えた無人機が陸、海、空にまたがってたくさん紹介されています。

 そういった無人機を大量に導入している結果、戦争とそれを行う人間にどういう変化がおきるのか。
 
 とても興味深かったです。